ピンクシャツデーは、いじめ反対・防止というだけでなく、「いじめって何?」という、いじめの定義を改めて考えてみたり、「傍観者になる」ということについて考えるきっかけを私たちに与えてくれている運動です。普段いじめについてあまり考えたことがない、いじめなんて自分には関係ない、と思っている方にこそ、知っていただきたい運動です。
最近では、「学校の教材にピンクシャツデーの話を使っています」という、ご連絡を各地から頂くようになりました。
ピンクシャツデーをつくったトラヴィス氏に伝えると、とても喜んでいました。「あの当時は、こんなに広まるなんて想像してなかった」のだそうです。SNS上でも、感謝を伝えるメッセージを送ってくれました。
あらゆる「いじめ行為」に反対の意思を表明するピンクシャツデー。カナダでは、子供から大人まで多くの人がピンクを身につけて過ごします。また、いじめ、虐待、DV、ハラスメント、動物虐待、LGBTs、差別や人権等の問題に取り組み、普段は別々に活動している人たちも、「いじめ」を共通の問題とし、「いじめ反対」をうったえ様々な分野の方々が一緒にピンクシャツデーに参加しています。
カナダのピンクシャツデー団体の担当者は、2月に入ると「凄く忙しいけど、ワクワクしてる。当日が待ちきれない!」と言っていました。年々、参加企業や参加団体が増え、よりいっそう街中がピンク色に染まる日、カナダ人がとても誇らしく感じるのだそうです。
世界中に広まりを見せたピンクシャツデー運動は、2007年にアクションを起こした学生たちのストーリーもさることながら、この運動の創始者であるトラヴィス氏の強い信念と、そこから派生する慎重な進め方にもあったのだろうと思います。運動そのものは、至ってシンプルですが、この運動の考え方には、彼の意図する所や他者への配慮などもあり、とても考えられた運動なのだと思っています。
弊団体は、2011年から、この運動をスタートし、当初はカナダの担当者の方にも随分と長い期間をかけ、色々なことを教えていただきました。同年3月には、東日本大震災が発生し、カナダやニュージーランドの団体の皆さまから、ご心配やお見舞いのメールを頂いたりもしました。また、この運動を通じて、ほかにもクロアチア、メキシコ、パナマのピンクシャツデー団体などとの交流もあり、とても温かいものを感じています。どの国の団体も、今も賛同者を増やし続けています。それほど、いじめは世界共通の問題であると言えると同時に、これだけ多くの人がいじめに対して立ち上がっているという事がこの運動を通じても分かると思います。
弊団体が活動を始めた当時は、日本では、この運動を普及されている方はおられず、カナダの団体に相談するしかありませんでした。「英文のみの記事やサイトだけでは、日本に広がらない。日本で広めるために、日本語で説明がしたい」と伝えました。それから、カナダの団体が送ってくださった資料を読み、様々な質問と試行錯誤を重ね、ウェブサイト上で「ピンクシャツデー運動のはじまり」を日本語にして、まとめることが出来ました。
また、地元の駅の掲示板や、知り合いの方の店舗や商店街、学校のPTAなど、この頃から色々な方々がフライヤーの配布にご協力くださいました。日本では、草の根運動でスタートした当時をよく知るカナダ団体のスタッフの方々をはじめ、創始者のトラヴィス氏もみな、良き理解者であり、良き協力者です。更に忘れてはならない良き理解者であり、良き協力者は、やはり賛同してくださった日本のサポーターの皆さまです。サポーターひとりひとりの賛同や声や行動が、ピンクシャツデー運動を支えてくださり、この運動の普及が、いじめを放置しない社会へと繋がっていきます。
この運動の普及とともに、少しでもいじめが減っていきますように。